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生前対策の基本知識

生前にできる準備と対策

遺された相続人が揉めずに安心した生活を送れるように、円満円滑な相続を実現するために今からできる準備には、主に以下の4つの対策があります。ご自身にとって、ご家族にとって必要な対策が何であるかを把握し、出来る限り元気なうちに準備を始めることをおススメ致します。


争族(遺産分割)対策

  • 財産をどう分けますか?
  • 誰に遺しますか?(遺言)

節税(相続税を減らす)対策

  • 相続税を減らすには?
  • 生前贈与・不動産対策・生命保険の活用は?

納税(資金の確保)対策

  • 納税資金は十分ですか?
  • どのように準備しますか?

認知症(万一のときに備えた)対策

  • 万が一家族が認知症になったらどうしますか?


(1)争族(遺産分割)対策とは

いざ、相続が開始したときに、遺された家族が適切に財産を分けられるようにしておくことです。「財産を分けやすい状態にしておくこと」「貰って困る不動産(老朽アパート、地方不動産等々)の整理」などが考えられます。また、トラブル防止のために遺言書を遺しておくことの検討も必要です。

遺言とは
1.遺言でできること
お持ちの財産は、いずれはご自身の手から離れ、相続人の方へ引き継がれます。 遺産相続は、誰もが円満に行われることを願います。その一つの方法として遺言 があります。遺言によって、ご自身の財産をご自身の考えで分けるとともに、家族 への想いをのこすことができます。 

【遺言でできること】
(1)財産の処分に関すること(お世話になった人に財産を相続させたいなど)
(2)相続に関すること(法定相続分と異なる割合の指定や遺言執行者の指定など)
(3) 身分に関すること(認知や未成年後見人の指定など)

2.遺言を残した方がいいケース
遺言書は、愛する家族に残す最後のメッセージであると同時に、遺言書があることで遺産分割協議を省略することが出来るので、争族を未然に防ぐ最良の手段。下記等に該当する方は、遺言書を残しておくことをお勧めしています。
▶ 財産の大半が不動産である
▶ 相続人同士が不仲である
▶ 推定相続人が認知症、意思能力に問題ある
▶ 推定相続人が音信不通、失踪している
▶ 推定相続人が配偶者と先妻の子である
▶ 推定相続人が配偶者と兄弟姉妹(第3順位)
▶ 特定の相続人に継がせたい財産がある
▶ 取引相場のない株式を保有する同族会社
▶ 義妻など、法定相続人以外の人に渡したい
▶ 内縁の配偶者がいる

3.遺言の形式は3タイプ
遺言の方式には、3タイプ(普通方式)があります。このうち、皆さんがよく耳にする「遺言」は、主に【自筆証書遺言】【正公証書遺言】の2つです。この2つの比較は、以下の通りです。

【自筆証書遺言】
遺言する人が、全文を紙に手書き記す遺言書のことです。最低限の紙、ペンと印鑑だけでもあれば、誰でも気軽に作成することができますが、パソコンやワープロ、代筆は無効となります。(※だだし、民法改正により財産目録については自筆でなくても可となりました)厳格な要件があり、わずかな不備で無効になる場合があるため細心の注意が必要です。

※2020年7月10日 自筆証書遺言に関するルールが変わりました。法務局に預けることで、紛失、偽造や家庭裁判所の検認作業が必要なくなります。

自筆証書遺言書(緩和)の作成例
自筆証書遺言保管制度パンフレット

【公正証書遺言】
公証役場において、遺言者の口述をもとに公証人が作成します(公証役場へ行けない場合は、公証人に病院や自宅出向いてもらうことも可能)。 公証人が法律の規定どおりに公正証書として書類を作成し、原本が公証役場に保管されるので、紛失や偽造の心配がありません。ただし、証人2人以上の立ち会いが必要であったり、手間と費用がかかることが難点です。

公正証書遺言について

【秘密証書遺言】
秘密証書遺言は公証役場で手続きをしますが、遺言内容は公証人に知られずにできるので、絶対に亡くなるまでは秘密を守りたいという場合に利用されています。

遺言 Q&A

4.相続人の「遺留分」に注意
遺産を誰に、どのように遺すかは原則として遺言者の自由ですが、相続人には最低限財産をもらえる権利として「遺留分」が法律で認められており、それを侵害しないように注意が必要です。遺言書等で遺留分を侵害された相続人は、他の相続人や遺贈を受けた人に、遺留分が侵害されたことを知った日から1年以内に「遺留分減殺請求」を起こして侵害分を取り戻すことができます。

【POINT】
子どものいない夫婦の場合、推定相続人が配偶者(相続分3/4)と兄弟姉妹(相続分1/4)となります。兄弟姉妹には遺留分が無いので(下記【遺留分の割合】表参照)、「配偶者に全て相続させる」と遺言を残しておくことで相続分を主張されること防ぐことができます。

5.付言事項
遺言者が遺言書に、相続人等への感謝の気持ちや分割にいたる自身の思いを込めて残す言葉です。付言は、遺言書に必ず残さなければいけないものではありませんが、遺言者の気持ちが表されていることにより遺された相続人間の紛争予防に大きな役割を果たしており、重要な記載事項です。付言には、決められた形式がありませんので、遺言者の本人の個性がそのまま表現されます。

付言の例
長女○○は、30年にわたり献身的に私の介護をしてくれました。私は、長女○○の介護に本当に感謝しています。この長女○○の労に報いるために、このような遺言書を作りました。長男■■、二女▲▲には、私のこの気持ちを理解してほしいと思います。また、これからも兄妹仲良くお互い助け合いながら暮らしてください。


(2)節税(相続税を減らす)対策とは

相続税かかると想定される場合、生前にできる対策により相続税額を減らす方策です。「生前贈与」「不動産の活用」「生命保険の活用」「養子縁組(相続人を増やす)」などが考えられます。

相続税の基本知識
生前贈与とは?


生前贈与の基本

「生前贈与」とは?相続税を減らす効果は?
生前に自身の財産を子や孫等に贈与すると贈与税ってかかるの?相続の時はどうなる?土地や自宅を生前に贈与できる?相続税を減らす等の相続対策に効果的な生前贈与って?など、正しく知っておくと、相続税対策にもなり得ます。生前贈与とは、その名のとおり『生きている間に財産を誰かに贈る』法律行為です。贈与は基本的にいつでも・誰でもできます。生前贈与のキホンと節税対策に繋がる非課税制度について知っておきましょう。

1.生前贈与と相続の違い
生前贈与では、生前に贈与者があげたい相手を自由に選べることで、確実にあげたい人へ承継させたい場合にはメリットがあります。相続の場合では、遺言を作成することによってある程度希望を反映することができますが、形式不備等でその内容が実現できない場合や遺留分(最低限もらえる権利)を請求されたりすることもあるので注意が必要です。

しかしながら、税金面からみると相続で取得するよりも、生前に贈与することで高額な贈与税が発生する場合があります。また、贈与するにあたり他の税金や諸経費(不動産の贈与等)がかかる場合もありますので、贈与の仕方と税金等を考慮して検討する必要があります。

詳細|贈与税率 国税庁No.4408
>>贈与税の計算と税率(暦年課税)<<

2.贈与税6つの非課税制度
贈与をすると受け取った側に「贈与税」がかかります。また贈与税の方が相続税よりも税率が高いのですが、それならばなぜわざわざ生前贈与をする意味があるのでしょうか?そこで活用できるのが、贈与税の非課税枠や優遇措置です。贈与税の制度を上手に使うことで、税負担が少ない状態で財産を贈与できたり、課税対象となる相続財産を減らす効果があります。

(1)暦年贈与(110万円/年の非課税枠) ※令和6年1月1日以降贈与分から3年が7年に改正

贈与税は一人が1月1日から12月31日までの間に取得した財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対してかかります。つまり、1年間に取得した財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかからず、申告も不要となります。110万円の基礎控除は贈与を受ける人ごとに認められます。たとえば、3人の子供に毎年110万円ずつ10年間贈与し続けると合計3,300万円の財産を無税で贈与することができます。

(注)ただし、相続が起こった時点(贈与をした人が亡くなった時点)より前7年(※)以内に贈与された財産については、子供一人ごとに110万円以内であっても、相続税の計算上で相続財産に含めることになっています。仮に亡くなる直近7年間に子供3人に、毎年110万円の贈与をしていても、2,310万円分(=110万円×3人×7年)の財産は、相続財産に加算して計算されます。
>>詳細|No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)<<

(2)2,500万円まで贈与税が非課税になる ※令和6年1月1日以降贈与分から改正
「2,500万円まで贈与税が非課税になる相続時精算課税制度」とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、18歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる制度で、2,500万円まで贈与しても贈与税がかからない特別控除です。2,500万円まで贈与できるため多額の資金が贈与税なしで子供に渡すことが可能。ただし、相続時精算課税制度は、一度この制度を選択してしまうとその後は、撤回することはできません(1.暦年贈与に戻れません)。相続のときまで継続してこの制度が受贈者(贈与を受けた方)に適用されることになります。また、相続時精算課税制度を利用した場合、相続時には亡くなった時点の相続財産の他に、この制度により贈与を受けた金額も加算して相続税を計算しなくてはなりません。このように、相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度です。
>>詳細|国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択<<

(3)居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
婚姻期間が20年超の夫婦で、『夫から妻へ』『妻から夫へ』いわゆる夫婦間での居住用不動産の購入、又は、その建築資金を贈与したときは、2,000万円までは贈与税がかからないという特例を贈与税の配偶者控除と呼びます。暦年贈与の基礎控除110万円と合わせて最大2,110万円を配偶者へ贈与することが可能です。

【適用要件】
(1)夫婦婚姻期間が20年を経過後の贈与であること
(2)配偶者から贈与された財産が自分が住むための国内居住用不動産であり、居住用不動産を取得するための金銭であること
(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
詳細|国税庁No.4452 
>>夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除<<

(注)ただし、不動産の贈与の場合、名義変更の登録免許税(固定資産評価額×2%)、不動産取得税(×3%)や他、専門家に依頼した場合にの報酬が発生します。※相続の場合、登録免許税(固定資産評価額×0.4)・不動産取得税なし。

(4)住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例 (3年延長・令和6年度税制改正)
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下「非課税の特例」といいます。)。
>>詳細|国税庁No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税<<

(5)教育資金等贈与の利用 (3年延長・令和5年度税制改正)
教育資金贈与の非課税特例とは、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、教育資金管理契約を締結する日において30歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、教育資金に充てるため、金融機関等とのその教育資金管理契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母や祖父母など。以下「贈与者」といいます。)から信託受益権を取得した場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権または金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税が非課税となります。

(注)教育資金贈与を行うと、その資金が一括で信託銀行の管理する口座に入り、簡単には引き出せなくなってしまいます。そのため、今余裕があるからといって1,500万円を贈与したが、10年後、20年後にやはりお金が必要になり、そのお金を取り戻したいと思っても手遅れです。先々を考えた範囲の贈与額を検討することが大切です。
>>詳細|国税庁No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税<<

(6)結婚・子育て資金の一括贈与 (2年延長・令和5年度税制改正)
平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方が、結婚や子育てのために贈与された金銭の価額のうち1,000万円が非課税になるというものです。こちらも「教育資金等贈与」と同じく、使い切らないと贈与税の対象になります。
>>詳細|国税庁No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税<<

不動産対策/土地活用
1.生前にできる不動産対策
生前にできる「不動産対策」はいくつかあり、それぞれは相続対策として効果があります。しかしながら、そのご家族にとって最適な不動産対策(土地活用)になっているか。当センターでは、保有されている不動産の【現状を把握】【課題・問題点】を整理したうえで、ご家族にとって必要な対策(節税対策・分割対策・認知症対策・キャッシュフロー対策等)にあった土地活用の選択肢をご提案していきます。診断の結果、「何もしない方がいい」という提案をすることもあります。

相続対策の目的・想いに沿ったプランを検証する
まず、あなたの所有している土地が、現在どのような状態であるか、ご家族の想い、将来の不安、要望等を整理したうえで、最有効利用の選択肢を絞っていきます。そして、相続対策の目標(ゴール)を明確化したうえで、最終的にその対策プランを実行するに値する土地(立地・規模等)であるのかを市場及び近隣競合調査を行なっていく必要があります。当センターでは、不動産の生前対策として以下の3つのSTEPで対策案を検討していきます。

STEP1


現状把握


現状資産の全体を把握したうえで、最有効利用を検討
ご家族状況(承継等)、将来の要望を整理する。

STEP2


目標の明確化


将来を見据えた心配、不安要素は何か?=問題改善点抽出
その不動産を活用することでのメリット、デメリットは。


目標の明確化「保有」か「処分」か。
不動産の活用において、まず大きく2つの選択肢があります。「保有継続」か「処分(も有)」か。先祖代々の土地をとにかく守る(売るわけにはいかない)という考えであるのか。または、土地の形(面積、形態)が変わっても、不動産対策の目的である収益を上げることが出来るなら、処分して土地が小さくなっても都心の市場性の良い立地に買い替え(資産の組み替え)を行うか。もしくは、節税効果を目的にするのであれば、分譲マンションに組み替えるのも選択肢の1つです。処分することは出来ない場合は、下記の2~7が次の選択肢となってきます。※現在位置は、1の現状維持(何もしない)です。

保有継続
1.現状維持(何もしない)
2.駐車場(コインパーキング、コンテナ倉庫)
3.事業用定期借地(ロードサイド)
4.賃貸住宅建築
5.戸建賃貸建築
6.リフォーム・リノベーション
7.贈与

処分
8.売却(現金化)
9.資産の組み替え

【目的を達成するためにあなたの基準を確認すること】
現状の目的・将来の問題点等
【CF】現状より収入を増やしたい。
【節税】将来、自身の相続時の相続税を抑えたい。
【分割】将来の資産承継がもめないようにしておきたい。
【分割】分けやすい財産にしておきたい。
【組み替え】現状の不動産を守るより、CFを増やしたい。節税効果を上げたい。

STEP3


公平な視点で市場調査、近隣・収益分析


将来困らないように、客観的に自分の土地のマーケットと価値を十分に理解し、対策の目的を明確にすることが大切です。


営業誘導されないように、自身の不動産の活用選択肢を知る
「この土地で何ができるのだろう」「とにかく収入を増やしたい」「相続税を減らしたい」「スムーズに子供に遺してやりたい」等々と、想いや目的が明確になっていない状態で、営業マンが勧める相続対策という「手段」から検討に入ってしまうと、数多とある不動産活用から選ぶことは至難の業であり、自社商品を売り込みたい業者からすると格好の的です。自身の「対策の目的」に沿って将来困らないように、客観的に自分の土地マーケットを知り、自身の不動産価値を十分に理解し、対策の目的を明確にしたうえで、不動産の活用を検討することが大切です。

当センターでは、その不動産で考えられる活用の選択肢ごとに市場・競合分析、節税効果、遺産分割対策、取り組み易さ(投資規模の判断)、キャッシュフロー(収入)、不動産組み換え(売却)効果などを比較分析したうえで、その不動産、そのご家族にあったオーダーメイドの不動産対策プランをご提案しています。

生命保険の活用
「生命保険を用いて相続税を節税できるって聞いたけど」 相続税節税のためだけでなく、生命保険を活用することでの様々なメリットがあります。生命保険は事前に指定した方に財産を残す方法で、「第二の遺言」とも言い、しかも遺産分けの相続財産には入りません。

「遺言は書きたくないけど、財産を多く渡したい人がいる」
「相続人ではない、介護の面倒見てくれた息子のお嫁さんに渡したい」
そのような生命保険の活用方法について、専門家が生活環境や身の回りの状況をお聴きし、ご本人様にとって様々な方法を提案し、適切なサポートを行います。

1.生命保険の取り扱い
(1)相続後すぐに現金化できる
相続が発生すると、金融機関に預けた現金はただちに凍結されてしまいます。しかし生命保険は、指定の書類を出して、書類に不備がなければ、5営業日程度で保険金が支払われます。
(2)民法と相続税法の取扱い
民法上、生命保険金は相続財産ではありません。受取人だけの固有の財産とみなされますので、遺産分割の対象にはなりません。相続税法では財産とみなして課税されますので、分割が必要な財産として誤解される場合がありますので注意が必要です。
(3)相続人以外にも贈与税を払うことなく財産を渡せる
特に介護の面倒を見てくれた方(例えば、息子の奥様など)にも、生前の感謝の気持ちを生命保険で伝えることも可能です。

2.分割対策として使う
(1)代償分割として使う
相続財産が不動産1つのみの場合には、分割しようがなく、争族争いになることも珍しくありません。
それを解消するために、不動産を相続する相続人を受取人として保険金を受け取り、それを他の相続人に渡すことで、公平性を保つことが出来ます。
(2)相続放棄しても受け取れる
生命保険金は、民法上の相続財産ではありません。従って相続を放棄した場合でも、生命保険金の受取人になっていれば、保険金を受け取ることが出来ます。例えば、借金などの負債が多く、相続放棄した場合でも、受け取ることができます。
(3)遺言の代わりになる
保険契約で指定した相手に生命保険金を渡すことができます。そのため、遺言と同様の効果があります。さらに遺言よりも優位な点は、保険金や受取人を柔軟に変更出来ることです。
公正証書遺言だと書きなおすためには、さらに費用がかかりますが、生命保険だと費用は特にかかりません。

3.節税対策として使う
(1)三種類の人物を使い分ける
生命保険は、①契約者、②被保険者、③受取人の三種類の人物が登場します。この組み合わせで、保険の目的、節税効果は大きく変わります。通常は、①契約者:親、②被保険者:親、③受取人:子が通常ですが、親が保険契約できない年齢の場合には下記の組み合わせによる契約も有効です。
(2)納税資金を確保するなら
事前に親から子供に現金贈与をした上で①契約者:子、②被保険者:親、③受取人:子の保険契約をします。
この場合には、相続税の税率と贈与税の税率を比較した上で、贈与額を決めることが大切です。
(3)孫への財産移転
①契約者:子、②被保険者:子、③受取人:孫の保険契約をします。
この場合も、事前に親から子供に現金贈与が条件になります。
当然ですが、親の相続財産を減らすのが最大の効果です。


(3)納税(資金の確保)対策とは

相続税がかかる場合、相続開始後10か月以内に「現金一括」納付が原則です。財産の大半が不動産という方は、注意です。「不動産の棚卸し(現状把握)」「不動産の売却」「生命保険の活用」が考えられます。


(4)認知症(万一のときに備えた)対策

生前であっても、認知症が発症したら、上記のような準備、対策が出来なくなります。本人が意思表示が出来なくなる前にできる準備です。「見守り契約」「委任契約」「任意後見契約」「公正証書遺言」「死後事務委任契約」などがあります。また、相続人の中に認知症等で意思表示が出来ない方がいる場合にも、検討が必要です。

成年後見制度
1.ご家族が万一認知症になったときの備え
成年後見制度は、精神上の障害、認知症等により判断能力が不十分な者について、契約の締結等を代わって行い、本人が誤った判断に基づいて契約した場合にそれを取り消すことができる権限を有する者を選任することにより、判断能力が不十分者を保護する制度です。成年後見制度には、法律が定める「法定後見制度」と、契約に基づく「任意後見制度」があります。また、法定後見制度は「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など、本人の事情に応じた制度を利用できるようになっています。

2.任意後見制度
任意後見制度とは、本人が十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ無図からが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと、本人を代理して契約等をすることによって、本人の意思に従った適切な保護・支援をすることが可能になります。

詳細パンフレットはこちら
https://www.souzokusoudanyokohama.com/file2s/%E6%88%90%E5%B9%B4%E5%BE%8C%E8%A6%8B%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88.pdf

まずは「現状把握」から始めましょう。
生前の相続対策をするには、「現状の把握」をする必要があります。自身の相続に備えるにあたって心配事は、「遺産分割」の心配、「相続税」の心配、「自身の健康状態」の心配であるのか?対策の目的がハッキリされていないケースも多いようです。当センターでは、無料相続相談・無料不動産相談において、現状の問題点、心配点、想いなどをお聞きしたうえで、必要な対策の選択肢をアドバイスさせていただいております。まずは、お気軽にご相談ください。


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